「通信制大学は学歴にならない」——通信制大学に入学を検討している社会人なら、一度は聞いたことがある言葉だと思います。

慶應通信に8年かけて卒業した私自身、入学前にこの言葉に何度もぶつかりました。

実際に卒業して転職活動も経験した今、「通信制大学は学歴にならない」が本当かどうか、自分の体験ベースで本音を書きます。

「通信制大学は学歴にならない」と言われる3つの理由

まず、なぜ通信制大学は学歴にならないと言われるのか、その背景を整理します。

理由①:入試の有無

多くの通信制大学は、書類選考のみで入学できます。

一般入試・共通テスト・推薦入試といった「学力選抜」を経ていないため、「誰でも入れる大学」という認識が一部にあります。

これが「通信制大学は学歴にならない」と言われる最も大きな理由です。

理由②:卒業率の低さの認知不足

通信制大学は入りやすい一方で、卒業率は非常に低いという事実が世間に十分知られていません。

慶應通信の卒業率は10%前後、放送大学も卒業まで届く人は限定的です。

「入りやすい=簡単に学位が取れる」という誤解が、通信制大学は学歴にならないという認識を強めています。

理由③:通学制との比較バイアス

通信制大学を卒業しても、書類上は「○○大学卒業」と書けます。

しかし、同じ「○○大学卒業」でも通学制とは違うという認識を持つ採用担当者は少なくありません。

これは大学側ではなく、社会の評価の問題です。

慶應通信8年卒業の私が転職活動で受けた実際の評価

私自身、慶應通信を卒業した後、dodaなどを通じて転職活動を経験してきました。

「通信制大学は学歴にならない」と言われる中で、実際にエージェントや採用担当者がどう反応したかを正直に書きます。

結論から言うと、「学歴としての扱われ方は、業界・職種によって大きく違う」というのが私の体感です。

30代後半の中途採用の場で、慶應通信の卒業歴は「学歴の補強材料」というより、「8年間学び続けた継続力」「フルタイム勤務しながら学位を取った行動力」として評価されることが多かったです。

履歴書には「慶應義塾大学 通信教育課程 卒業」と書く

私は履歴書に「慶應義塾大学 通信教育課程 卒業」と明記しています。

通信教育課程であることを隠さない方が、書類選考通過後の面接で「通信制大学は学歴にならない」という議論を持ち出されにくいと感じました。

書類上は、「慶應義塾大学 卒業」と書いてあっても、面接官は年齢と卒業年度に違和感を覚えるので、必ず聞いてきます。

後出しすると、面接官のがっかり感が伝わることがあるので、最初から開示しておくことで、評価のミスマッチも避けられます。

通信制大学が「学歴」として機能する場面と、しない場面

通信制大学は学歴にならないとひとくくりに言うのは雑すぎます。

実際には「機能する場面」と「機能しない場面」がはっきり分かれます。

機能する場面

・大卒資格が応募条件になっている求人(事務職・経理・公務員試験など)
・即戦力採用ではなく、人物・継続力で評価される中途採用
・社内昇格の要件として大卒が必要な場合
・実務経験+学位という組み合わせで評価されるポジション

機能しない場面

・新卒一括採用の中で通学制大学生と直接比較される場面
・学歴フィルタが強い大手企業の中途採用(一部)
・職場の同期・先輩と「学歴マウント」の文脈で並べられる場面

「通信制大学は学歴にならない」と決めつけるのは、機能しない場面だけを切り取った議論です。

実際には、社会人のキャリア形成において機能する場面の方が多い、というのが私の実感です。

学歴目的なら避けるべき・選ぶべき通信制大学

もし「通信制大学を学歴として機能させたい」と考えるなら、以下の観点で大学を選ぶと後悔が少なくなります。

・知名度のある通学制大学が運営する通信課程(慶應通信・中央通信・法政通信など)
・100%オンライン完結で「ITに強い卒業生」というブランドが立つ大学(サイバー大学)
・実学・キャリア志向で就職実績が明確な大学(産能)

逆に、知名度が低く、就職実績も非公開で、入学者数だけ多い通信制大学は、学歴として弱くなりがちです。

「通信制大学は学歴にならない」と言われやすいのは、こうした大学全般を指していることが多いです。

ただ、慶應通信のような「卒業難易度が極端に高い通信制大学」が、すべての社会人に向いているとは思いません。

私自身、8年かけて卒業しましたが、途中でレポートを止めた時期もありましたし、「もう無理かもしれない」と感じたことも何度もありました。

通信制大学は、「入学できるか」より「卒業まで続けられるか」の方が圧倒的に重要です。

特に30代以降の社会人は、仕事・家庭・体力低下と並行して学ぶことになります。

そのため、「ブランド力」だけで選ぶよりも、“現実的に卒業できる設計か”という視点はかなり大事だと思っています。

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学歴にならないなら、通信制大学に通う意味はあるか

仮に「通信制大学は学歴にならない」が一部正しいとして、それでも通う価値はあるのか。

8年間通い続けた私の答えは「ある」です。

理由は、通信制大学で得られるものは学歴だけではないからです。

30代以降の通信制大学卒業は、20代の通学制大学卒業とは「効果の質」が違います。

すでに社会人経験を積んだ状態で大学の知に触れるため、業務で経験してきたことを体系的に整理し直せる、視点が増える、という独特の効果があります。

学歴以上に、思考のフレームを増やすという意味で、通信制大学は社会人にとって意味があります。

私自身、慶應通信を卒業したからといって、急に人生が変わったわけではありません。
年収が劇的に上がったわけでも、誰からも高学歴扱いされるわけでもない。

それでも、「高卒だから応募できなかった求人」に応募できるようになり、「どうせ自分なんて」という感覚は確実に薄れました。

まとめ:「通信制大学は学歴にならない」は半分本当で半分間違い

通信制大学を卒業しても、「通学制じゃないんだ」と言う人はいます。

でも、働きながら何年も学び続ける経験は、実際にやった人にしかわかりません。

少なくとも私は、卒業して良かったと心から思います。

卒業していなかったら今でも学歴を気にして、ずっと後悔していたと思います。

「通信制大学は学歴にならない」というのは、業界・職種・大学・場面によって正解にも不正解にもなります。

慶應通信8年卒業者として実感しているのは、転職市場での評価は「卒業歴そのもの」より「8年続けたという事実」「フルタイムで学位を取った行動力」に集まりやすいということ。

学歴ラベルとしての価値を超えた評価軸が、社会人の通信制大学にはあります。

あなたが通信制大学に通う目的が「学歴の上書き」だけなら、選び方は慎重に。

「視点を増やす」「キャリアの転換点を作る」が目的なら、通信制大学は十分機能します。